入浴を拒む認知症の母、その態度が変わった理由

認知症のご家族を介護する方からの
ご相談が増え続けています。

その中、

「呼びかけを変えたら、母が落ち着きました!
お困りの方へのヒントになれば」と

嬉しい報告をいただきました。

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関西在住のAさんは関東出身です。

関東の実家では、
認知症のお母様をお父様が介護する
「老老介護」が10年以上続いています。

昨年から、お母様は帰省したAさんが
自分の娘であることがわからなくなりました。

「おまえは誰だ! 出て行け!」と
1時間以上罵倒することもあったそうです。

精神的な変化だけでなく、
衛生面でも問題が出ていました。

トイレの失敗が増え、
入浴を嫌がり、促すと激怒するほどに。

母には気持ちよく、清潔に過ごしてもらいたい。
老老介護を頑張る父も限界にきている。

でも、
自分の姿を見ると興奮する母を見て
「何もしてあげられない」と苦しかったそうです。

1年以上苦しい状況が続いていたAさんでしたが、
自分を娘として認識していないお母様との会話の中で、
あることに気づきました。

「娘として接するより、
ニコニコした優しい他人として接した方が、母の機嫌がいいかも?

そこで、

「お母さん、・・・」と話しかけるのではなく、

「和子(仮名)さん、・・・」と名前で話しかけて見ました。

「和子さん、髪の毛切って可愛くなったね~」

「へぇ~、和子さんは○○が好きなの~」

Aさんがこうして話しかけていると、

お母さまも嬉しそうにいろいろ話をしてくれたそうです。

話はほぼ辻褄が合わず、
話題もコロコロ変わり、
妄想の話になったり、

何について話しているのか
わからなかったりしたそうですが、
笑顔で話してくれるお母様を見てAさんはホッとしました。

そして、
一番の悩みだったお風呂も

「和子さん、私今からお風呂はいるけど一緒に入る?」
と誘ったところ

「あら、いいわね!」
とお母様はニコニコとお風呂場へ。

「あんなに父を悩ませていたお風呂もすんなり入ってくれました!
と感激されていました。

娘としてではなく、
第三として関わるのは辛い気持ちもあったかと思います。

それでも、
「ニコニコ機嫌よく過ごしてもらえるのは嬉しい!
コミュニケーションのヒントが得られた!」と
伝えてくださいました。

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認知症の種類にもよりますが、
もっとも患数が多いアルツハイマー型認知症では
記憶力の低下が顕著です。

「自分が何なのか?」
「ここにいて良いのか?」と
強い不安や恐怖を感じている方が多いのです。

家族を忘れてしまったり、
つじつまの合わない話を聞いたりすると、
家族は悲しく、不安になります。

けれども、
本人は私たちよりもさらに強く不安を感じています。

想像してみてください。

ある日、
突然知らない人に「お母さん」「お父さん」と呼ばれたら?

知らない人に
「お風呂に入った方がいい!」と強く言われたら?

びっくりしますよね。
私たちが想像できない不安と恐怖の中で過ごしているんです。

認知症になっても
に対する社会性を保たれている方は多くいらっしゃいます。

Aさんのお母様も、
娘が家族だとわからなくなり、
暴れたり、暴言を吐いたりすることがあっても、
落ち着いている時には

「ご家族が心配するから早く帰りなさいね」

「体を大切にしなさいよ」などと

気遣いや思いやりを見せてくれる場面が
あったのだそうです。

Aさんが第三として関わったことで、
お母様は安心感を得られたのでしょう。

その安心感から
お母様の持っている社会性が現れ、
家族の笑顔につながったのです。

家族として認識してもらえないのはとても辛いことですが、

「どうしたら機嫌よく過ごしてもらえるか?」

という目的を優先して、
発想を切り替えたのがAさんのケースです。

認知症の家族の方とのコミュニケーションをするとき

「正しさ」ではなく、
「安心」を感じてもらうことを優先してみる。

そういう選択肢もあるのです。

とは言っても、
家族として認識してもらえない辛さや、
引き裂かれるような心の痛みもあるでしょう。

その気持ちを、押し殺す必要はありません。
辛い、悲しい気持ちを、ケアマネジャーや、
協会にどうぞ届けてください。

こちらの質問・相談フォームを気軽にご活用くださいね。
https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=355424

橋中今日子

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