介護者メンタルケア協会

家族の介護でお悩みの方

介護は、あらゆる人が当事者

介護者メンタルケア協会、橋中今日子です。
弊協会へは、様々な介護の相談が寄せられます。

一番多いのは、今まさに介護をされている方です。

・日々の介護に疲れ果て、気力も体力も枯渇してしまっている
・日々の介護をやり切るために、もっと頑張れる方法を模索している
・職場や家族間で介護に対する理解を得られず、孤独感をつのらせている

介護に直接関わっている方だけではありません。

・これから来る両親の介護に備えて情報収集をしたい
・自分が介護をされる立場になったらどうしてほしいか、子供たちと意見を共有したい
・介護で疲れ切っている友人や同僚がいるけれど、どう助けてあげればいいか、どう声をかけていいかわからない

介護を終えてなお、悩んでおられる方もいます。

・介護が終わって燃え尽きてしまい、何をしていいかわからなくなってしまった
・看取りを終えたあと、自分の介護が正しかったのかどうか思い悩んでいる
・家族を失った喪失感から立ち直れず、半年以上も気が滅入っている

介護は今や、あらゆる人が当事者なのです。

介護に悩んでいる人、介護で疲れている人に共通していること

弊協会に寄せられた相談は、のべ1200人以上にのぼります。

「ケアマネージャーや主治医があてにならない」
「家族が介護に協力してくれない」
「もう、自分が仕事を辞めるしかない」

といった、苦しい状況を抱えるお声がたくさん届いています。

個別で詳しくお伺いしていると、多くの方に共通していることがありました。
それは、以下の2点です。

・ケアマネージャーや主治医、職場など、周りの人に相談するのをためらっている
・本人は相談しているつもりでも、実情が正しく伝わっていない

その結果「自分でやるしかない」と、介護をひとりで抱え込み、頑張りすぎてしまっているのが特徴です。

努力や根性、家族愛で介護はできない

精神論を全否定するつもりはありませんが、努力や根性、家族愛だけでは介護はできません。

私は、寝たきりの母、認知症の祖母、知的障害の弟の3人を20年以上にわたって介護し続けてきました。
介護を始めてから15年ほどは、介護を「自分でやるしかない」と思いこんで、ひとりで抱え込んでいました。

大切にしたいはずだった家族を怒鳴りつけ、自己嫌悪に陥る毎日。
「こんなに大変なのに、誰も助けてくれない!」と、周りは全員敵にしか見えません。
職場の人間関係も悪化し、クビになりかけたこともあります。

たとえ家族であっても、自分ひとりきりで介護をするのは無理なんです。
どんなに愛があっても、体と心は疲れるのです。
それなのに、介護者は自分の体と心の回復をおろそかにしてしまいます。
かつての私もそうでした。

介護で疲れていることに気がつかないままだと、ある日突然

「もう、何もする気力がない……」
「明日の朝、起きられる自信がない……」

という状態に陥ります。
この状態に一度入ると、回復するのに年単位かかってしまいます。

また、介護心中や介護殺人といった悲しい事件も後を絶ちません。
このような事件は、特殊な人が起こしたこと、特殊な環境だったから起きたことではないのです。

ほとんどのケースが、慢性的な介護疲れを抱えたまま「他の人に迷惑をかけたくない」と限界を超えてひとりで頑張りすぎて
「頼るべき人に正しく頼る」
「介護者自身の体と心を整える」

ことができなかった結果、起きてしまっているのです。

介護を頑張りすぎている人が陥りやすい4つのパターン

弊協会に寄せられる介護の相談を分析した結果、介護をひとりで抱え込み、頑張りすぎている人には、似たような思考パターンがあることが明らかになりました。

下記に当てはまる言葉がひとつでも思い当たるなら、介護をひとりで抱え込み、頑張りすぎているサインです。

1:義務感や責任感で介護をやろうとしている
「長男(長女、嫁)だから、自分がやらなければ」
「私がやるしかない」
「他人に相談するのは甘えだ」

2:相談するタイミングがわからない
「ウチの状況はまだ大丈夫」
「もっと大変になったら相談しよう」
「周りに迷惑をかけたくない」

3:自分に限界があることを認められない
「こんなことで疲れるなんて、もっと自己管理しなきゃ」
「自分なんかまだまだマシな方、もっとがんばれるはず」
「私はまだ大丈夫」

4:理想の介護ができない自分を責めている
「優しくできない自分は最低だ」
「自分は大したことをしていない」
「本当は、もっとできるはずなのに……」

「そうそう、自分もそう思う!」と感じる方は、自覚がなくても、既に「介護疲れ」のフェーズに入っている可能性があります。

今すぐに、頼るべき人に正しく頼って、介護者自身の体と心を整えましょう。

介護者メンタルケア協会が、あなたのためにできること

とはいっても、具体的にどうすればいいかわからないという方もいらっしゃるでしょう。

そんな方の手元にぜひ置いてほしいのが、著書『がんばらない介護』(ダイヤモンド社)です。
『がんばらない介護』には、「介護でこう困ったときは、こう助けを求めればいい」というケーススタディや、「介護のあるある」がぎっしり詰まっています。

読んでくださった方からは
「うちだけじゃないんだ、と安心しました」
「友人やケアマネに紹介されて読んで、心が楽になりました」
「もっと早く知っておけばよかった」
といったお声が届いています。

出版のきっかけは、私のブログです。
私は、2013年にブログ『介護につかれたとき、心が軽くなるヒント』を開設し、日々の介護、仕事と介護の両立、コミュニケーションのコツなどについて書き続けていました。
すると、ブログはまたたくまにランキングで一位に。
介護の悩みを相談できずに抱え込んでいる人がこんなにもいらっしゃることに驚きました。
そして、全国から介護の相談が寄せられるようになりました。

ブログを綴りながら、相談にお答えしているうちに
「このノウハウを求めている人が大勢います。ぜひまとめて、一冊の本にしたいです!」
とダイヤモンド社からお声がかかり、出版が決定しました。
ブログをスタートしてから1年後のことです。

困ったら『がんばらない介護』を読んでみてください。
解決につながるヒントが必ずあるはずです。

メルマガ『介護に疲れたとき、心が楽になるヒント』も不定期で発行しています。
こちらには、よりタイムリーな情報や、最近よくある相談への回答を発信しています。

あなたは、ひとりではありません

介護はもはや、特別なことではありません。
この20年間で、制度もかなり整い、認知症への理解も増えてきました。

制度が整ったとはいっても、要介護者の突然の病気や怪我といった、介護のトラブルそのものを減らすことはできません。
自分が病気になることだってあります。

最近では、新型コロナウイルスによる影響で、多くの方が環境の変化を強いられました。
これも、自分の力ではコントロールできないものです。

しかも、介護業界はもう、ギリギリです。
現場も疲弊しています。
予算もどんどん削られています。事業者もギリギリ、現場もギリギリです。

制度にも業界にも家族にも、限界があるのです。

介護に疲れて、困り果てて、もうどうしていいかわからないときは、弊協会の相談フォームからお声を聞かせてください。
現在、橋中自身が個別のご相談に直接対応するのは難しいのですが、メールマガジンやこのHPでお答えできればと思っています。

みんなで知恵を出し合いましょう。
あなたの事例が、ひとりで介護を抱え込んで苦しんでいる、他の誰かを救います。

共にこの時代を乗り切りましょう。

橋中今日子

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