メルマガ【介護に疲れた時、心が軽くなるヒント 】 ■ Q&A「面会に来ない、協力してくれない兄弟を説得したい」 ■

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介護に疲れた時、心が軽くなるヒント

■ Q&A「面会に来ない、協力してくれない兄弟を説得したい」 ■

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介護者メンタルケア協会
橋中です。

年末に祖母を無事看取ることができました。
昨日は少し早い四十九日の法要のため、
大阪のお寺まで片道130キロの距離を運転してきました。

無事お寺に到着できた! とホッとした途端、大パニックに陥りました。
今日は納骨の予定だったのに、車に骨壺がないのです!!!!
私の名誉のためにお伝えしますが、骨壺の準備は姉の担当でした。

出発前に「骨壷、準備してる?」と聞いたら
「当たり前でしょ!(怒)」とキレられたので、
私は「見て確認」をしなかったのです。

納骨するのにお骨を忘れる方って
我が家以外にもいらっしゃるのか!?と思いましたが、
住職をしている友人の話によると「あるある」のことだそうです(笑)
 
長距離移動の上に、そんなトラブルがあったので、
自宅に戻った後は、ぐったり動けないほど疲れを感じました。

ひと休みして、スマートフォンを使おうとしたところ、
今度は、顔認証が機能しません。
疲れで顔がむくみすぎて、別人だと判定されているのです!!

1時間ほど休息した後に再度試したら、
今度はちゃんと反応してくれたので安心しましたが、
たった一日の疲労が顔つきを変えてしまうほど
大きな影響があるんだなあと、しみじみ感じました。
 
祖母が亡くなってから1ヶ月がたち、ようやく仕事もプライベートも
自分のペースで進められる感覚を取り戻しつつあります。

とはいえ、祖母亡き後の手続きや法事も残っていますし、
時折心がざわつくこともあります。

看取りを終えた後のグリーフケアでは
そのざわつきを無視せず、抑え込まないことが重要なので、
「前向きにならなければ!」と無理しないように意識して過ごしています。

グリーフケアについては、また少しずつお伝えしていきますね。

今回は、お寄せいただいたご相談にお答えする回です。

介護の方針について、家族や兄弟、親族との間で
・意見が合わない
・協力してくれない
・負担に差がある
と感じている人にぜひ読んでいただきたいです。

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■ ご相談

Sさん 40代女性
「10年前、父親の認知症が発症し、
施設入所して5年が経ちます。
実兄は、父が入所してから一度も顔を見に行きません。
変わってしまった父を見たくない、と言う理由です。
どのように説得すれば足を運ぶでしょうか?」

このご相談には、回答が2つあります。

はじめに、お兄さまご本人が面会に行くように
具体的に言葉掛けをする方法です。

続いて、自分はなぜそのことで悩んでいるのか
もう少し深く掘り下げてみる方法です。

実は、この二番目の方が大事です。
思い当たることがある方は、
ちょっとだけ、ひとりになる時間をとって、
最後まで読んでみてください。

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■ 橋中からの回答

Sさんは、お父様が認知症を発症してから10年間、
ずっと見守っていらっしゃったのですね。

でも、同じ父親であるのに、お兄様はそうなさらない。
「どのような説得をすれば足を運ぶでしょうか?」
とのご質問からも、
これまでも様々な呼びかけをされたのでしょうが
お兄様の対応には変化がなく、気を揉んでいらっしゃるのでしょう。

今回は「説得方法」をご希望いただいているのですが、
説得というのは、FBIのネゴシエーター(交渉人)など
専門的なトレーニングを受けているプロでも難しいことです。

素人の私たちが無理に説得すると、大抵は抵抗されます。
表面上は従ってくれても、後で手痛い反撃を受けることもあります。
面会を強要したことで関係が悪化するのは避けたいですよね。

今回のご相談にはひとつ、手掛かりがあります。

それは「変わってしまった父を見たくない」と
お兄様が理由を明確に示してくれていることです。

「変わってしまった父を見たくない」という理由は
Sさんには理解しがたいものかもしれません。

しかし、ショックな出来事を避けたいという感情は本能的なものです。

特に男性はその傾向が強く、不安から問題を遠ざけたり、
先送りしたり、大切な人との距離をとることが珍しくありません。
「本能」による行動に対しては、
いくら理詰めで説得しても敵わないのです。

お兄様にとって、お父様に面会することは
学校から帰ってきたら突然、家が廃墟になっていたようなもので
怖くて中に入ることができないのです。

怖がっている人間に行動させるのに「言葉の説得」は効きません。
もっと怖いことが起きるぞと「脅迫」すると、関係が壊れます。

では、どうすればいいか。

「怖くないのかも?」と感じてもらう機会を作ることです。

そのためにはまず、Sさん自身が
「兄は、今の父に会うのが怖いんだ」という
本能からの恐怖と抵抗を、一旦受け入れましょう。

次に、お兄様が持っている恐怖を
和らげるような情報を根気強く届けるのです。

例えば、お父様がよく笑った、よく食べている、
元気そうだといった、ボジティブな情報です。

他には、
「兄さんの名前を言ったら嬉しそうに笑ってたよ」といった
お兄様をお父様が受け入れているとわかる情報です。

これは、作り話でも構いません。

一番のポイントは、頻度を多くしないことです。
月1、2回、不定期にメールでメッセージを入れましょう。
電話よりもメールの方がいいです。
文章は3~5行以内に収めます。

いろいろなことを伝えたくなるかもしれませんが
「今日、一緒に散歩に行ったら、よく笑ってたよ」
「敬老会で得意の歌声を披露したんだって!」
といった、短い内容がベストです。
お父様が施設のイベントを楽しんでいらっしゃる写真に
「楽しんでたよ!」と一言だけ添えるのも効果的です。

お兄様からの返信を期待してはいけません。
「怖くないのかも?」というポジティブ貯金を貯め続けるのです。

3ヶ月ほどメール作戦を続けた上で
「今度◯日に施設に行くけど、一緒にどう?」
と、気軽に誘う風にして連絡してみましょう。

この時も、来てくれるかどうかを目的にせず
「来ても来なくても全く問題ないよ。ついでだから」
の雰囲気で送るのがポイントです。

既読スルーであったとしても、
怒ったり、悲しんだりする必要はありません。
「会おうと思えば、気軽に会えるんだよ」と
雰囲気を伝えるだけでいいのです。

この作戦は、お兄様の
「変わってしまった父を見ることでショックを受けたくない」
との不安を和らげる情報を届け続けることが目的です。

お兄様が実際に面会に来るかどうかは約束できませんが
「認知症になっても、父は人生を楽しんでいる」とわかれば、
お兄様自身も救われるはずです。

ポジティブ情報貯金を届けることを、ぜひ試してみてください。

続いて、2つ目です。

Sさんはお兄様が面会に来ないことで何に困り、
何を避けたいと思っているのでしょうか?

以下の質問に対する答えを、ノートに書き出してみましょう。

(1)この問題(お兄様が面会に行かないこと)で、何に困っていますか?
(2)この問題が解決したら(お兄様が面会に来るようになったら)どのような状態になること望んでいますか?
(3)この問題が解決しない(このまま面会に来ない)と、何が起こりそうでしょうか?
(4)(1)—(3)を書き出してみて、気づいたことは何でしょうか?

お兄様が面会に来る、来ないだけに注目すると、
方法は「説得」しかありません。

例えば、(1)に注目すると、
・施設への連絡や手続きを全て私が担っていて、負担になっている
・家族の関係性が壊れてしまうのではないかと心配している
といった、具体的に何に困っていて、
どうしたいのかが明確になります。
 
自分の悩みを掘り下げた上で
(5)改めて、どんな状態になることを望んでいますか?
(6)そのために、助けてくれそうな人、物、サービスは何でしょうか?
を書き出すと、本当に必要な対策を見つけることができます。

一点、注意しておきたいことがあります。

お兄様に面会を望む理由が
「兄が来なくて、父がかわいそう」
という思いだった場合です。

これは、お兄様とお父様の関係の問題です。
Sさんがそこに踏み込むのは、心の領域侵犯です。

「家族だから面会に行くのは当たり前」
「家族が介護するのは当たり前」
と思うかもしれませんが、
相手はそう感じているとは限りません。

推測でしかありませんが、
お兄様は、同じ男性としてのリスペクトから
「変わってしまった父を見たくない」
「父だって、認知症になった自分を見られたくないはずだ」
という、苦しい決断をされているのかもしれません。

そんな決断をしたのに、他人から
「会いに行くべき!」と説得されると、
心は頑なに閉じていってしまうでしょう。

たとえ家族であっても、踏み込めない心の領域があるのです。

Sさんばかりがお父様に面会するのは
心苦しいのかもしれませんが、
ツーショットの写真をたくさん撮るなど、
会いに来ているからこそできることを
楽しんでみるのはいかがでしょうか?

お兄様がいつか羨ましがるくらいの、
二人きりの楽しい思い出の貯金を
Sさん自身の中にもたっぷり残してください。

ご質問、ご感想などお気軽にお寄せください。
https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=355424

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