対人支援者自身が、最も支援を必要としている
医療・福祉・介護の現場は慢性的な人手不足です。
利用者や家族の気持ちを尊重したケアをしたくても、なかなか余裕がありません。
病状や状態はそれぞれ異なるため、正解が出ないケースも多く、
一生懸命対応しても、期待したような反応が得られるとは限らないでしょう。
他部門をはじめ、行政や他医療機関など組織外との連携も求められます。
立場や価値観、経験が異なる人たちと協力するのは、非常に難しいものです。
私自身、理学療法士として病院で勤務した経験があるので、その状況はよくわかります。
また、特別養護老人ホームや老人保健施設などの介護施設では、終末期の対応が求められるようになりました。
利用者の急変を見逃さないために、職員には大きな負担がかかっています。
家族や本人の希望、主治医の意見が異なることもあり、
メンタル面でのサポートを求められることも多いでしょう。
看取りを経験してショックを受けるのは、家族だけではありません。
日々対応してきたスタッフ自身も、大きなショックを受けています。
「本人の希望を叶えてあげられなかった…」、「もっとできたのではないか…」と
罪責感情を抱く人も少なくありません。
デスカンファレンスなどで振り返りの機会はあっても、
医療職、介護職自身のグリーフケアはほとんどなされていないことも課題です。
「誰かの支えになろうとする人こそ、一番、支えを必要としている」
これは、緩和ケア・在宅療養支援を専門とする小澤竹俊医師の言葉です。
医療・介護・福祉の現場を支え続けている支援者自身が、誰よりもケアが必要なのです。
介護者メンタルケア協会では、介護の枠にとどまらず、医療・介護・福祉従事者を中心に、
民生委員といった地域の互助活動に関わる方など、広く対人支援者へ向けたサポートを行っています。
対人支援者が抱える3つの問題
医療・介護・福祉の現場で働く対人支援者には、特有の問題があります。
共感疲労
相手の気持ちを汲み取り、理解するために自分の気持ちを抑え続け、心理的に疲弊することです。
共感疲労は対人支援者の職業病ともいえます。
守秘義務
業務中に起きるトラブルや悩みを誰かに話したい、相談したいと思っても、友人や家族には話すことができません。
職場内で打ち明けたくても、職員同士の関係性に問題があると、相談する機会を失うこともあります。
人手不足
医療・介護・福祉の現場では、6割が人手不足の問題を抱えていると言われています。
時間や手間をかけてスタッフを育てても、短期間で離職してしまうことも多く、管理職は頭を悩ませています。
また、利用者に細やかな対応をしたくても、人手不足のために業務に追われ、スタッフは多くのストレスを抱えています。
介護者メンタルケア協会ができること
塀協会では、コミュニケーション技術とメンタルケアに主軸をおき、
ワークショップや講演会、個別面談など様々なサポートを行っています。
要介護者や家族との関わり方や困難ケースへの対応法
対人支援の現場では、専門技術に加えてコミュニケーション技術が不可欠です。
・相手や自分の感情に巻き込まれずに、問題解決へ導く思考方法
・過度な要求を求める要介護者、家族と、適切な距離感を保ちながら対応する方法
・心理学知識に基づくコミュニケーション技術でラポールを築く方法
をお伝えして、利用者から評判のいい職場づくりをサポートします
必要な情報を引き出すためのコミュニケーションのノウハウ
利用者や家族との面談は、話が横道にそれることが多く、時間も長くなりがちです。
相手の状況を把握し、真の要望や目的を最短距離で引き出す質問メソッドをお伝えします。
グリーフケア・メンタルケアの技術
利用者や家族の悲しみや嘆き、喪失感に寄り添いながらサポートする方法をお伝えします。
また、おろそかにされがちなスタッフ自身のグリーフケア、
仕事上で抱えたストレスや心理的負担を和らげるメンタルケアで
スタッフの「燃え尽き症候群」を防ぎます。
対人関係の改善
「スタッフが長続きしない」「スタッフ同士の関係がよくない」という問題は、管理職に共通する課題です。
・価値観の違いを認め、受け入れる方法
・意見の違いが起きた時、相手の話を聞き、自分の考えも率直に伝えられる自他尊重のコミュニケーション方法
・部下が働く意味や意義を見つけられる関わり方、声のかけ方、指導方法
・問題行動がある部下や職員への対応方法
をお伝えし、風通しのいい職場づくりをサポートします。
サポート実績例
介護施設
■A老人ホーム(ワークショップ)
対象:ヘルパー、介護福祉士、看護師
内容:看取りを経験したスタッフのグリーフケア
■B老人ホーム(ワークショップ)
対象:ヘルパー、介護福祉士、看護師
内容:職員のストレス解消とメンタルヘルスの技術
行政
■C市(講演会)
対象:民生委員
内容:ラポールが取れるコミュニケーションの技術
■D市(講演会)
対象:ケアマネジャー、介護職、医療職
内容:家族介護者の現状と支えるためのヒント
医療施設ほか
■E病院(ワークショップ)
対象:医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、MSW
内容:家族介護者の現状と、相談を受ける際の「聞く技術」
■服薬ケア学会(講演会)
対象:薬剤師、医師、看護師
内容:家族介護者の現状と、支える際のヒント
「職場環境を変えたい」「コミュニケーション技術を深める教育を行いたい」とお考えの方は、こちらのフォームから、お気軽にお問い合わせください。また、個人の方は、橋中今日子による対人支援者向けのワークショップも不定期で開催しています。
また、利用者の理解を深めるためには
「介護者のあるある」がぎっしり詰まった著書『がんばらない介護』(ダイヤモンド社)も、
きっとお役に立てるはずです。