従業員の介護離職を防ぎたい方

介護離職する人は年間10万人以上

日本は今、4人にひとりが65歳以上という、超高齢化社会に突入しています。

それに伴って、問題となっているのが「介護離職」です。
介護を理由に仕事を辞めている人は、年間10万人以上にのぼります。

大家族で介護ができたのは、昭和40年代までの話。
今は、たったひとりで介護に向き合わざるをえない人がほとんどです。
最も活躍する世代である、40~50代の働き盛りの方でさえ、定年まで全力投球できない時代になりました。

これはもう、変えようがない未来です。

最近では、新型コロナウイルスによって、暮らし方や働き方の大改革をせざるをえない状況になりました。
これから、予想外のことがどんどん起きていくでしょう。

私達は、変化を求められているのです。

弊協会には、今まさに介護の真っ最中である当事者の方はもちろんのこと、
経営者や管理職、人事担当者、産業カウンセラーなどからの、
「介護をしている従業員へどう対応すればいいのか」
という相談が、この数年で激増しています。

・突然退職した従業員が、実は介護年ごとの両立で苦しんでいたことを後で知った
・自分に介護経験がなく、状況がわからない
・従業員が親の介護をしているようだが、打ち明けてくれない
・力になってあげたいが、聞き方がわからない
・使える制度について知りたい
・「介護をしている従業員が優遇されすぎている」という不満が出ている

特に、介護経験のない若い中間管理職の方が、
「介護をしている部下に、どう対応すればいいんだろう」
と悩んでおられます。

そもそも、介護とは何か

厚生労働省の調査によると、かつて、介護の原因となる疾患の多くは、脳梗塞や脳出血といった脳血管疾患でした。
元気な人がある日突然倒れ、身体の麻痺や記憶障害、感情のコントロールが難しくなる高次脳機能障害が残るものです。
「介護は突然やってくる」の代表的な疾患です。

2015年には、この脳血管疾患を抑えて、認知症が介護原因の1位になりました。

65歳以上の7人にひとり、75歳以上では5人にひとり、85歳以上では、2人にひとりは認知症を発症しています。
平均寿命が女性87歳、男性81歳の現代では、誰もが認知症になり、認知症の家族を介護する時代なのです。

介護は、スタートが見えにくくなってきました。特に認知症は静かに進行していきます。

介護というと、オムツ交換や食事の補助などの身体介護をイメージされるかもしれませんが、
介護保険の手続きや病院の付き添い、買い物などの家事も含まれます。
大まかには、以下の4つに大別されます。

①生活援助:買い物、掃除、洗濯、料理などの家事支援
②身体介護:トイレ、お風呂、食事介護、着替え、整容動作(洗顔、歯磨き、髭剃り)
③心理的サポート:話を聞く、相談に乗るなど
④経済的なサポートや雑務:入院、退院、施設入退居の手続き、財産管理など

要支援1~要介護5までの介護認定が下りると、介護保険によるサービスを利用することができます。

しかし、目立ったトラブルが起きていないため、介護認定が下りていない状態でも、介護は静かに進行しています。
「定期的に買い物の手伝いをしたり、様子を見に行ったりしている」
「通院に付き添っている」
といったケースは、自覚はないかもしれませんが、すでに介護がスタートしているのです。

介護に突入している事実を気づかない、あるいは気づきたくないのが、人の心理です。
配偶者が認知症だと診断されても、心の準備ができていないために受け入れられず、介護サービスを頑なに拒む人もいます。

介護している従業員が職場に相談をしないのはなぜ?

幣協会に寄せられる経営者、管理職からの相談には
「休みがちになっていた原因が介護だと気がつかなかった」
「退職を引き留めたかった」
という声が多いです。

一方で、ある調査では、介護離職をした人の5割が
「仕事を辞めたくなかった」
「退職を後悔している」
と回答しています。
また、半数以上が職場に相談せずに退職しています。

両者の間には誤解があるのです。

従業員は
「介護をしていることを明らかにすると不利な立場になるのでは」
「キャリアや役職を失いたくない」
「周りに迷惑をかけたくない」
と考えて、現状を打ち明けません。
その結果、人間関係や自分自身の体調が悪化し、肉体的にも精神的にも辞めざるを得ない状態に陥るのです。

介護と仕事の両立がうまくいっている人は、早期に相談し、周りの力を有効利用して能力を発揮しています。

しかし、介護の負担はそれぞれのケースで全く異なります。
「仕事にプライベートを持ち込んではいけない」
そう考えて相談をためらう人は多いものです。

「今、どのような状況で、何に困っているのか。どのような助けが必要なのか教えて欲しい」
と、寄り添う姿勢を見せることが第一歩です。

経営者、管理職が知っておくべき3つの制度

経営者や管理職の方からの相談で次に多いのは
「育児・介護休業法をどういう時に使ってもらえばいいのかわからない」
というものです。

「仕事を休まれるのは困る」というのは、経営者や管理職としては正直な気持ちかもしれません。
しかし、誰もが介護と無縁ではいられないのです。
「制度をフル活用して、優秀な人材に今後も長く働き続けてもらうメリット」に意識を向けてみてください。

介護をしている従業員をサポートするために知っておくべき制度は
「介護休暇」
「介護休業」
「所定労働時間の短縮等の措置」
の3つです。
これさえ覚えておけば心配いりません。それぞれについて簡単に説明します。

介護休暇
要介護者1人につき1年に5日間、半日単位で取得できる休暇制度。要介護者が2人以上の場合は、10日間取得できる。病院の付き添いや介護保険申請の手続きなど、突発的な状況で利用しやすい。

介護休業
要介護者1人につき93日間休める制度で、分割取得も可能。入院中の要介護者の退院前後3週間をまとめて休み、状況が変化した時に残りの日数を分割して休むといった使い方ができる。

所定労働時間の短縮等の措置
2017年に新設された制度で、最長3年間、フレックスタイム制や時短勤務など、働く時間を調整・変更できる。デイサービスの送迎時間に合わせて出退勤することができる。

介護離職者の大半が制度を利用していません。
特に「介護休業」や「所定労働時間の短縮等の措置」は取得率が低いです。

「使い切ってしまったら、もう後がないのでは」
「万が一のために、できるだけ休暇を残しておきたい」
と取得をためらう従業員には、制度利用中に仕事と介護を両立する環境を整えられるメリットも合わせて促してみてください。

介護を見据えた人材育成と制度づくり

働きながら介護をする人は、これから増える一方で、減ることはないでしょう。
それは、変えられない現実です。

介護をしている従業員は「迷惑な存在」でもなければ「弱い存在」でもありません。
介護のトラブルでパフォーマンスが下がる時期があるのは事実ですが、専門性や経験を持った重要な人材です。
就労時間の長短や欠勤の多寡で、その人の能力そのものが低下するわけではありません。

「戻る場所、活躍する場所があれば戻りたい!」
「役に立ちたい!」
「恩返ししたい!」
という気持ちは、仕事と介護を両立する原動力になります。
復帰後は、職場への感謝の思いから、愛社精神が増す方も多いです。

仕事と介護の両立に企業として取り組むと、人材募集上でもメリットがあります。

若い世代は、プライベートの時間を充実させる働き方を求めていて、給料面よりも対人関係が良い会社を選んでいます。
また、子育てなどのライフイベントで一旦仕事を辞めた優秀な人材にも注目されやすくなります。

この機会に「すべての人に居場所と役割がある体制づくり」「魅力ある職場づくり」にもチャレンジしてみてください。

経営者、管理職自身も介護に直面する

誰もが、介護と無縁では生きられない時代です。

従業員への対応はもちろん、経営者自身も、いずれくる介護生活へ向けて対策を練っておきましょう。

経営者や管理職の方が介護をすることになったとき、従業員との一番の違いは
介護休暇や介護休業といった制度を使用して自分が介護に集中できないことです。

さらに、経営における重要な意志決断や現場で生じた突発事態への対処など、
他人に任せにくい重い責任を抱えています。
自分や身内だけで介護をやり切ろうとするのは危険です。
事業と家族の両方を守るためには、介護の早い段階で介護保険と保険外サービスを利用しましょう。

介護は、介護保険のサービス外の、雑務による負担が大きいものです。
宅食や家事支援サービスなどの民間サービスはもちろん、
社会福祉協議会や市町村のHPなどから地域の有償ボランティアの情報などを集めてみてください。

講演や企業研修に行くと「うちは、両親ともに今は元気なので」との声をよく聞きます。
つまり「漠然とした不安はあるけれど、具体的な介護の対策はしていない」というわけです。
けれども、介護が必要になる可能性は、年齢と共に急激に高くなります。
75歳までで10人に一人、80歳で5人に一人、85歳で2人に一人が介護を必要とするのです。
「幸いなことに今は元気」でも、明日のことはわかりません。

介護者メンタルケア協会ができること

介護者メンタルケア協会には、以下のような相談が寄せられます。

☑ 介護トラブルを抱える従業員からの連絡や報告がない。無断欠勤や遅刻が増えて業務に支障が出ている
☑ 「介護することになったので辞めます」と、突然宣言された。どう対応したらいいかわからない
☑ 慢性的な人手不足。休ませてあげたいが、対応に悩んでいる
☑ 「育児・介護休業法」について従業員に説明するように国から言われているが、何をどう伝えたらいいかわからない
☑ 管理職、経営者自身も介護しているが、周りの人に相談できない
☑ 介護経験のない従業員が、介護で休みがちな従業員に対して「ずるい! 私たちに負担がかかっている!」と反発し、関係性が悪化している

協会では、講演会やセミナー、コーチングなどを通して、
経営者、管理職、人事担当者、産業カウンセラーなどへ向けた
職場環境づくりのサポート、従業員へ向けた普及教育を行っています。

介護についての基礎知識、介護と仕事を両立できる普及教育

・介護者が陥りやすい「介護負担の抱え込み」について学び、介護うつや介護離職を防ぐ
・介護の4つの時期を知り、突然やってくる介護への準備を進める
・介護認定の申請から介護保険を利用できるまでの流れ
・介護で起きやすいトラブルと対処法
・介護認定調査で、調査員や主治医に、よりよく状況を理解してもらえる伝え方のポイント
・訪問介護サービス、通所介護サービス、施設サービスの利用法

制度をうまく活用する具体的方法

・介護休業、介護休暇、有給休暇、欠勤を使い分けて離職を防ぐ
・認知症と脳梗塞など、ケースに合わせた制度の利用法とタイミング
・制度の利用を躊躇する従業員への促し方

コミュニケーション技術

<経営者・管理者向け>
・「従業員が相談しやすい聞き方」と「言ってはいけないアドバイス」
・介護する職員と他職員との間の対立を解決するコミュニケーション術

<従業員向け普及教育>
・周りの人に、どんな情報をどこまで伝えればいいか、その順番
・周りの人に協力を得やすくなる「コミュニケーションの5ステップ」

 

「介護でこう困ったときは、こう助けを求めればいい」というケーススタディなど
「介護のあるある」がぎっしり詰まった著書『がんばらない介護』(ダイヤモンド社)もお役に立てるはずです。

様々な企業をサポートしてきた経験から、私は「従業員同士がサポートしあう体制が一度できた職場は強い」と実感しています。
介護しながらも皆が活躍できる、強い職場が増えることを願ってやみません。

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