7/4に放送されたNHK『あさイチ』ではカットされましたが、
取材では、介護離職を経験されている方へのメッセージもお話ししています。
過去、介護離職された方が番組を見て、後悔する気持ちが湧いておられるのでは……? と、気がかりになりました。
また、番組をご覧になって、それでも「休むことには罪悪感がある……」と感じておられる方へのメッセージも合わせて、ここに記しておきます。
介護離職を経験された方へ
離職されたことについて、ご自身を責めないでください。
育児・介護休業法は改正を重ね、ここ数年で少しずつ利用しやすくなってきました。
宅食やミールキットといった家事負担が楽になるサービスも、コロナ禍以後にようやく増えてきたところです。
今はまだ、さまざまなことが発展途上中なのです。
介護に対する世間の理解もようやく少し進んだような状況です。
サービスや制度が整わない中で、頑張って頑張って、最終的に離職を決断された方がほとんどです。
これまでの決断や判断に何一つ間違いはありません。
一生懸命考えた結果ですから、ご自身の判断と決断を誇りに思ってください。
ここからは過去の延長戦が続くわけではありません。
介護者さんとご家族がより楽に、幸せになる方法を探していきましょう。
どんな困難な状況であったとしても、1mmずつ状況をずらしながら、より良い方向に変えていきましょう。
休むことに罪悪感がある方へ
番組内で、阿川佐和子さんが「後ろめたさがあるから、優しくなれる。サボるって大事!」と強調されていましたよね。
この言葉を聞いて、
「うんうん! その通り! 楽しむことは大事!」
「後ろめたさがある方が、私は優しくなれるわ」
とおっしゃる方は、「サボるのサイコー!」と、阿川さん的思考をどんどん活用ください。
反面、「え、サボるなんて……」と罪悪感を感じて動きづらくなる方は
「休むことは介護の一部。休むことも仕事の一部。サボることじゃない!」
と「これはサボりじゃないもーん!」というバージョンの思考を使いましょう。
心理学的には、阿川さんタイプは「快追求型タイプ」さん。
楽しいこと、自分が好きなことを優先することでモチベーション(やる気)が上がり、自分がより良い状態を保てます。
うしろめたさを感じるぐらい、自分が楽しむことで、気持ちが良い状態に進むタイプの人です。
後者の「サボるなんて…」と抵抗感や嫌悪感をもつ人は「不快回避型タイプ」さん。
楽しいことをするよりも、大切な人が不快になったり問題が生じるのがイヤで、自分がこれまで頑張ってきたことが反故になってしまうことを避けたい。
だから、「うしろめたさ」を持ったままでは楽しめないし、ゆっくり休息することができないのです。
私もこのタイプです。
だからこそ、
「休むのは正当なこと、周りの人にもメリットがある!」
と、後ろめたさよりも、周りの人のメリットになると考えることで、休息をとることへの抵抗感がなくります。
ご自身が阿川さんタイプの「快追求型」か、私のような「不快回避型」か、チェックしてみてくださいね。
また、タイプの違いが家族間のトラブルになることもあります。
どちらのタイプが良い、悪いではなく、「行動するための欲求が違うんだ」ぐらいに捉えると兄弟間トラブルも減らせますよ。
「デイサービスを嫌がる」「何度も同じことを言われてイライラする」etc……といった、介護でよくあるお悩みの対処法については、拙書「がんばらない介護」で事例別に説明しています。
お読みいただいた方からは
「悩んでいるの、うちだけじゃなかった!」
「頑張ってる自分を認められるようになった」
といった感想をたくさんお寄せいただいています。
お近くの図書館にもあるかと思います。
ぜひ手にとってみてくださいね。